中学生としての普通っぽい日々を手に入れるまで①
そんな君が中学生として暮らすのは、想像以上に過酷だったらしい。
4月、滑り止めで入学した中高一貫の私立に入学した。入学式、不本意さは感じたものの、たまに見せた笑顔は忘れられない。
ITCを取り入れた教育、連絡も提出物も手書きよりマイiPadで作成してオンライン提出という、書字ディスレクシアにはピッタリかと思っていた。
しかし、しばらくすると、登校を渋る。
朝から行きたくないとパニックをおこす。
学校の事は話さなくなる。
慣れるまでの辛抱かと思った。
甘かった。
気がついて手を打ったのは遅すぎた。
担任と話すと、いじめはないが、ぼっちのようだ、と。
は?で?
つまり、全くなんの役にも立たない教師だった。
夏休みの夏期講習。
完全に学校に行けなくなった。
担任と話したところで、やっぱりラチがあかない。
三者面談は、あまりにも無意味だった。
息子はもう学校っていうと、死にそうな顔してる。
親の勘、やっと発動。
この子、このままこの学校通わせたら、死ぬわ。
人生で初めて、そんな風に感じた。
そして、こういう勘は、見過ごしてはいけない。
母の本気、合わせて発動。
区の教育相談に走る。
担当の相談員さんは、偶然にも小さい時の息子を知っている人だった。
「学校辞めて、すぐ転校させた方がいいよ」
!?
母の重い悩みを一蹴するシンプルな提案。
「このまま不登校になるのはわかってるんだから、それなら早めにリセットしてあげれば?」
「公立なら特別支援教育受けられるし、また通級も行けるし」
なんかね、碇シンジ的『逃げちゃダメだ』論が頭の中でこだましてて、その道選んじゃダメでしょ、って勝手に思考ブロックさせていた自分がいたのですが、この一言で、母の脳内ロックが解除されました。
いーのか。
嫌なら辞めて、いーのか。
そーかそーか。
この時、夏休みは半分過ぎていました。
ここから怒涛の日々その①が始まります。